バラックの死に損ない

 「ネェ、ソウルくん」
 一人でテレビを見ながら塩パスタをもさもさ食ってた所に、珍しくブレアがやってきた。俺とブレアは間にマカを挟まないと中々に仲が悪い。ブレアが俺に敵意を持っているのがその一番の理由で、俺がブレアに敵意を持っているのが二番目の理由。
 「あんだクソ猫」
 「あにゃ、ツレないお返事。マカはぁ?」
 「知らねぇよ」
 ブレアは夕方5時ぐらいに出勤するため、いつものイカれた乳と尻の強調されたコスチュームに大きなつばの三角帽子を被っている。化粧しなくともそれなりに見栄えのする派手な顔が歪んだ。
 「またどうせ怒らせて追い出したんだにゃ」
 「DV夫か俺は」
 「ふっふぅん、ソウルくんにマカを養っていけるワケないもんねぇ〜」
 にこやかに俺を覗き込むブレアが半分程度平らげられた塩パスタを一瞥してさらに嗤う。
 「いつだったかマカが入院した時もソレ食べてたねぇ、ねえなんでマカが居る時は手の込んだ料理作るのに一人のときはそんなの食べてんの? 死武専入った時はジャガイモも満足に剥けなかったくせに」
 ブレアはマカが居ないと魔女根性丸出しにして俺を追い詰める。かといってマカに馴れているわけでもない。ただ大人しくネコとしての立場を全うしているだけ。
 「アタシ、ソウルくんのコト好きよぉ。マカにお願いしてるの。飽きたらお下がりチョウダイってね」
 きらきら紫色に光る長い爪が扇のように広がってけらけら笑う口元を覆っている。
 昏い瞳。真っ黒な髪。よく研がれた爪。まごう事なき猫の化身。その口元にルージュを引けば、あっという間に俺の臓物を貪り食うイメージ映像の出来上がり。“あぶく”の立つ血の涎を巻き上げて鋭い牙が闇夜に輝く。
 「あの子を食い物にするつもりなら止しときなさい。あの子と一緒に生きてくつもりなら腹を括りなさい。あの子があんたの為を思うならば従いなさい」
 金に輝く鉛のような重苦しい目が長いまつげに飾られながら俺を詰る。悦楽や苦行とはかけ離れた風に。
 「ハァ? なんだよそれ」
 「でも、そのどのつもりもないソウルくんはまるで」
 そこまで言って猫が押し黙った。くねくねと曲げていた身体をすっと立ち上がらせててもまだ言葉を発しない。
 「まるで、なんだよ? 犬だの奴隷だの囚人だのはもう聞き飽きたぜ」
 ひらひらと片手を揺らして追い払う仕草。聞きたくもない罵倒の先を促しているようですぐやめた。
 いつの間にやらギラギラした目で獲物を仕留める数瞬前の猫が舌なめずりをして高く舞い上がった。全身で俺を抑え込む算段らしい。おお、血が噴き出る血管が瞼の裏を舞っている。
 「まるであんたは×××××」

 そこで目が覚める。心臓が高鳴っていて、汗で気色が悪い。
 掛け布団の上には伸びた黒猫が俺の胸の上で尻尾をパタパタとやっていた。
 「……おい、ブレア」
 「んー」
 「俺の寝床に入ってくるとまたマカがうるせぇぞ」
 「……とかにゃんとか言っちゃってェ、やきもち焼かれていい気分デショ?」
 かんらかんらと朝っぱらから高いテンションでブレアが笑う。そういや黒猫は子供の寝息を食って取り殺すそうだな。
 ……どいつもこいつも。



 17:01 2009/10/22 ソウルくん強化月間なので。黒血の狂気とブレアの魔力は親和性が高そうだなーと。ソウルは普段自分を追い詰める内罰タイプ。困難極まったら味方を率先して撃つ他罰タイプ。そんな人並みに快楽に弱い、好きな子補正がちょっと多目なだけの普通の男の子。×に入る単語は最初書いてたけど。当てたらえらい。もしくはエスパー。或いは狂人。マカに捨てられたらブレアのヒモになればいいよソウルと常日頃から思っている俺ですが、皮ジャケ+ホットパンツのブレアが鎌持ったら似合い過ぎるにも程があるので誰かソウブレを俺に!






跨ぎ構成ってムカつくよな

 今日はなんだかソウルが異様に挙動不審だ。
 「なぁ」
 いつもは眠そうで動きも緩慢なのに、ばっちり目が開いてるしマカの隣をひと時たりとも離れない。
 「なんか今日、マカ達ヘンじゃね?」
 俺は隣に耳打ちするように囁く。相棒は黒板を気にしながら、ちゃんと授業を受けなさいと冷たいお言葉。ちょっ、言葉選び違えたか。
 「ソウルなんか休み時間トイレ行くのも超ダッシュだぜ?」
 「……何か心境の変化あったのかもね、二人の」
 「心境の変化ってなんだよ?」
 「さぁね、自分で考えたら」
 「……椿ちゃん、こっち見て」
 「授業受けなさいってば」
 ツンツンツーンの椿ちゃんは俺がマカの名前を出すと最近冷たい。モテる男は辛いぜヒャハハ。
 俺は構ってくれない椿から目線を外してマカを見た。爆裂強気娘が今日はまた大人しいこと大人しいこと。話しかけても上の空で絶対椅子から立ち上がらない。立ち上がったかと思ったらコートをきっちり前合わせしてソウルを従えそそくさ、そそくさ。……どう見てもおかしい。
 ペンを指の上でくるくるとまわしながら頬杖を突くソウルも、心ここに在らずといった塩梅。もちろん通常授業の教師の話なんか全く聞いちゃいない。ただぼんやり視線が漂っている。
 チクッと左手に痛みが走ったので椿の方向を向くと、こちらを見もせずにノートを指差した。
 『また0点よ!』
 殴り書きでも俺よりずっときれいな字が怒っている。まったく、可愛い女だなお前は。
 「俺が愛してるのは椿ちゃんだけよン」
 「そんなの知ってるわ」
 事もなげにきっぱり言い切られたので、俺は退屈でチンプンカンプンな授業へ舞い戻ることにしたと同時に授業終了の鐘が鳴った。椿がノートと教科書を閉じて教卓へ走ってゆく。ありゃりゃ、怒らしたかな。
 俺はため息をつきながらマカの席の前へ回ると、当然のようにソウルが俺の前に立ち塞がろうとした。
 「ソウル、椿が呼んでたぞ」
 俺様がちょいとその気になればソウルの虚を突くなんてなんでもない。テンポを崩されグッと押し黙って、教室を教師と共に出てゆく椿の後ろ髪に視線が連れて行かれるソウルの背中を絶妙の間で押す。
 「武器授業の話とか言ってたから行って来いよ」
 しばらく俺を睨んでいたソウルに、マカがなんだか目配せをしたら黙って教室を出て行った。犬かあいつは。
 「よう。今日は随分おしとやかじゃねーか」
 「……そ、そう? 気、のせいだと思うけど」
 「何かヘンなもんでも食って腹壊したか?」
 軽口のつもりでそんなことを言ったが、マカがビクッと身体を振るわせながら辺りをきょろきょろと見まわした格好を見て俺はピンと来た。具体的に何か解った訳でもないけど。
 「そ、そんなわけないじゃない。い、至ってフツーよ」
 ……何がフツーだよ、いつもなら一つ馬鹿にしたら十は言い返してくるくせに。
 「まぁいいや。次職人授業だ、移動しねぇと」
 俺が促してもマカは喉の奥に言葉を詰まらせたようなはっきりしない態度で椅子から立ち上がりもしない。
 「おいマカ!」
 痺れを切らして腕をつかんで引っ張った瞬間に電光石火の右パンチが。うわ、つい避けちまった。
 「お、穏やかじゃねぇな」
 つり上がった目に紅潮した頬、この心地よい春の陽気で汗までかいてる。
 「い、いいから移動教室っ!ほらもうチャイム鳴るから」
 時計の方に注意を向けようと教卓の上の方を指差しているマカの目は彷徨っていて不自然極まりない。コートを引き寄せたいのか、椅子のあたりをパタパタ手さぐり。
 いつの間にか教室には俺とマカ以外の誰も居なくなっていて、窓からの光で気付かなかったけれど電気も消されていた。椿がその気もなく上手にソウルを引きつけてくれたらしい。流石俺様の武器は万能過ぎるぜ。
 「今日は随分ソウルにひっついてンし」
 「気のせいでしょ」
 フンと下を向いた肩がきゅっと縮こまっていて、嘘を付いているのが丸解りだ。人間、後ろ暗いことがあるといつもと逆の仕草をする。マカが訳もなく恐縮するなんて少なくとも俺は見たことが無い。
 「はっ、小物どものチチクリ合いなんざドーでもいい」
 「だったら構わないで放っておいてくれるとありがたいよ」
 ツンツンツーンのマカ公がうるさいチャイムと同時に精一杯の虚勢を張って、涙ぐましいったらありゃしねぇ。
 「お前、またソウルに乱暴とかされたんじゃねえよな?」
 ビクッとマカが身体を震わせて固まった。
 「ま、またって何よ!」
 「いつだったか、学校でヤラれ掛けてたじゃん」
 「やっヤラれ掛けてたとかゆーな!あれは勘違いだって言ったでしょ、あんたの早とちりっ」
 「……フーン」
 俺はマカのコートの上にドスンと座り、じりじりと距離を詰める。暖かい日差しの差し込む教室、何処かから漏れ聞こえる教師の声、埃っぽい空気、蝋燭と模造紙と鉛筆の匂い。
 「あっ!ちょっと皺になる!のけ馬鹿っ!」
 ぐいぐいケツの下のコートが引っ張られる。こそばゆい。椿とは違う色と匂いの頭が揺れてくらくらした。
 「ソウルのここんとこ」
 マカの顔を覗きこんで息を止めた。意味はない。あんまり近すぎてこいつが食った朝食のパンの種類さえ解りそう。太陽の光に透かされた髪が光っている。艶やかな色。
 「傷が付いてた」
 自分の下唇をぐるっとなぞり、深い緑の目の奥を覗き込む。チョロチョロ逃げる焦点を押さえてしまえば、嘘をつくのが下手なマカの首根っこを押さえたも同然。
 「男の唇に傷が付くのは物凄い下手コイた時か、女に噛み切られた時くらいのもんだろ?」
 昨日の今日で沽券に係る人生の屈辱や、犬歯が引っかかるような歯軋りを考えるより、前科の方を疑うのが人情ってもんだ。突き付けた(俺にしては)理路整然とした疑問に、うっと唸り声を上げるばかりのマカが身を引いて時計を見た。
 無駄無駄、もう教室はカギが閉まってて途中入室なんかさせてもらえねぇよ。出席票だって集め終わってる時間だぜ。
 「なんでそう無駄に鋭いの?」
 「俺様の洞察力をもってすれば赤子の手をひねるようなもんだ!」
 ヘン、と身を引いて腕組をした。その仕草が何か言い訳じみていると頭のどこかが言ったが無視を決め込むことにする。決して、迫って引かれて傷ついて尻尾を巻いたんじゃねぇからな。
 「……使い方違うような気がするけど……
 何でもないの、本当。ソウルはヘアピンに引っ掛かって怪我しただけで大したことない」
 ……お前の頭についてる髪留めに口が当たるよーな無理な体勢が何でもない、ね。
 「大したことない? 朝から席も立たず、ソウルの傍を離れないことがか?」
 「だ、だからそれは」
 「それは?」
 「っ、だっ誰にも言うなよ」
 服が引っ張られてマカが耳打ちをする。耳の傍の空気が震えてゾクゾク背筋が戦慄いた。
 「ブレアに下着をヘンなのに変えられたのっ」
 こそこそ小さな声。がらんとした誰もいない教室でこんなに密着して小声になる必要なんかあんのか?
 「今日は風が強いし、うっかりまくれ上がった日にゃ引き篭もるも已む無しなのっわかった!?」
 朝登校するときに気付いたんだけど、ソウルが風を気にして咄嗟に抑えてさあ、思わず頭突きカマしちゃってそん時に口切ったわけ。マカが渋々と言った風に事の顛末を語り始めた。ブレアとの細かい諍いがどうとか、それに関わってるソウルの失敗がこうとか。
 「だから心配してもらうようなことは何もない」
 くっそー、これで秘密を知る者が4人にっと歯ぎしりしながら間から机に突っ伏した。
 「4人? ソウルとマカとブレアと俺か?」
 「自分入れてどうすんのよ。どうせ椿ちゃんに話行くでしょ」
 こともなげにサラッとマカが椿の名を出したことが、俺の中のヘンなスイッチを押してしまったようだった。
 「……変なパンツってどんなの」
 「パパが超筆記試験首席のお祝いにって寄こしたの。スッケスケの紫でグロい奴」
 「見して」
 言ってしまったら、しばらく唖然として固まっていたマカが顔を真赤にして怒鳴った。
 「あ、アホかっ!」
 「お前のってガッカリパンツしか見たことねェし」
 「アンタ人の話聞いてた? この下着を見せないように朝から挙動不審してんのよ!」
 「いーじゃん。減るもんじゃなし」
 おかしいな、心臓が騒いでない。なんだ俺。何やってんだ俺。
 「補強金具の付いた本の角でぶっ叩かれたいのね」
 「叩かれたら見してくれるんだな?」
 「絶対イヤっ!つーかイミ解んない!ソウルよかブラックスターのがよっぽど危険じゃん!」
 寄るな触るな弾けて飛ぶさ!と本をぶん回しながらマカが暴れる。もちろんそんなモン食らう俺様ではない。空を切る音。埃が舞う。顔の赤いマカ、それから瞼にこすれる前髪。
 「椿ちゃんに頼め!そんでぶっ飛ばされろ!」
 「ふっ!解ってねーな、椿のパンツはなんかキレー過ぎて下着の広告見てるみてぇで今一コーフンしねぇんだよ!」
 「悪かったなキレーでなくてっ!つか友達のパンツでコーフンするとか言うな気持ち悪い!」
 「いやマカのガッカリパンツでは興奮しねぇケド、紫スケスケってのに興味が」
 「なお悪ィ!」
 ガツン、と真正面から振り下ろされた本の背表紙が脳天にめり込んで、その勢いで机に顔を強か打つ。わははは、スゲー音。まだ教室に残響が残ってる。……あれ、これは俺の脳みそが揺れてる音か?
 「ほんと、他の人に言い触らしたらヒドいかんね!?」
 ぷんぷん怒りながらマカが本を仕舞い、鞄から参考書を取り出して一般教科の宿題を始めたらしかった。
 「なにお前、勉強すんの?」
 「この時間サボっちゃったから来週提出の宿題やっちゃう」
 「真面目だねェ」
 「ブラックスターもやれば。今なら教えてあげるよ」
 「寝る」
 マカを透かして見る窓の外はいい天気で、時々カタカタと窓枠が揺れる音がする。部屋は暖かく静かで、カサカサとノートの上を走るシャープペンのダンスは心地がいい。薄い色素のマカは光の額縁の中できらきら輝いてて、ボキャブラリーの貧困な俺は天使のよーだ、というダサい表現しか思い浮かばなくて歯がゆい。
 濃淡のキツい一枚絵。マカの二つ括りが小刻みに揺れている。大きな濃緑の目、集中すると尖る唇、サラサラで触り心地の良さそうな頬、あるんだかないんだか微妙な双丘。じっくり眺めるほど頭の中が穏やかになってきてボンヤリ視界が歪んで回る。
 マカとはきっとこの距離のまま永遠に交わらないのだろうなと頭のどこかが言ったのを最後に、俺は闇の世界に帰還した。

 「おい、ブラックスター」
 肩を揺すられてはっと目を覚ましたらソウルが居た。
 「体育だぞ、さっさと着替えろよ」
 いつの間にかクラスの連中はみんな体操着に着替えて上着を畳んでたり、シャツを丸めたりとさんざめいている。
 「……マカは?」
 「だから体育だっつってんだろ、もう女子更行ったよ」
 着替え、という単語が頭の中に静かに染み渡って、はっと思いだし、そのことを口に出した。ぼんやりとしたままで。
 「だってあいつ、変なパンツ」
 言ってしまったらソウルの顔色がさっと変わって、面白いぐらい動揺したので。
 「……なんで知ってんだ」
 その問いに無慈悲なテロップを表示してやった。
 「答えはCMの後」



 15:46 2009/11/04 ブラマカ難しい。川井マカは川井ソウルに一定の距離以上近寄らせないけど、川井★がマジで近づいて行ったらずるずるくっ付きそうな気がするのは、★が真っ当に男の子だからだよな。川井ソウルはもっと頑張れ。ガンと行け、ガツンとヤってやれ。







"Hell is paved with good intentions."

 被害者ですよ、と彼が言った。
 「……ワタシー? 彼ー? それとも君ー?」
 もちろん、世界が。
 鏡の前に立ち尽くして言葉もなく身動ぎもしないワタシに向かって赤毛のボウヤが短く答えた。
 正式にワタシのパートナーを名乗れる唯一の人間は、とても有能だ。精神の制御に飛びぬけて長けているし、基本的に誰にも壁を作らない人当たりの良さと驚くほどバランスのいい魂を持っている。
 「狂気の?」
 いいえ、悪意の。
 だからこそ、彼は時に非情だ。死神のありもしない背筋がそそけ立つほど。
 「ワタシの教育が至らなかった。誰の心にも必ず鬼神が居ることを分からせてやれなかった。ジャスティンはきっとそいつを……実感としての悪意を知らなかっただけなんだよ」
 まだ若く幼い瞳でワタシを見上げた日のことを覚えている。頑なで揺らぎなく、無駄の少ない実直な少年の姿はワタシを頼もしく思わせる反面、ひどく不安にした。だがそんな思いを軽く一蹴するほどに彼は有能で果敢だった。
 だからワタシにこそ油断があったのだ。
 「死神様、あいつは“知っていて”被害者になった一番性質の悪い奴です」
 くたびれたスーツから靴底の音が鳴った。かたこと、歩いている。モノトーンの墓場の中を、青空を模した空間の中を、燃えるような赤毛のボウヤが歩いてくる。
 「世界中みんなそうでしょ、狂気なんて言わば悪魔のささやきです。それが直接何かをするわけじゃない。いつでもハンドルを握ってるのは個人ですよ。誰か一人が背負えば済むならそいつは全能神を名乗るべきだ」
 背中のすぐ後ろに気配を感じる。息をしている赤毛のボウヤが独りきり。
 「……それ、慰めてるつもり?」
 「そう聞こえるなら、相当疲れてますね死神様」
 屋敷に帰って泣き言ぶつけてきたらどうですか、きっとあのオッパイであやしてくれますよ。引き笑いのような侮蔑のような憐みのような不思議な言葉で彼が吐き捨てる。
 「手厳しい」
 もう笑うしかないのでワタシは笑った。まるで追い立てられているよう。
 「娘は甘やかして育てたけど、男には平等に厳しくが俺の教育方針なんで」
 解ってやっているに違いないのだ。ワタシがジャスティンを見捨てないように釘を刺している。悪役を買って出てまで、彼なりに秩序の番人としての役目を全うするために。
 「死武専の校長ともあろう者がなんですか、みっともない。自己満足なら隠れておやんなさい」
 「……っとにヒドイなキミは!泣くよワタシ!」
   思わず涙声になって切り返したら、これ以上なく芝居掛ったため息と仕草で頭を軽く振りながらお手上げのポーズをしたスピリットくんが靴底を二度鳴らした。
 「何か勘違いしてまスね死神様。俺ァ出来は悪くても給料分の仕事はする男ですぜ」
 赤毛の奥から覗く深緑の双眼が鋭くワタシの仮面の奥に渦巻く虚空をにらみ付ける。おお、オソロシ。さすが腐ってもデスサイズ。世界一の称号は伊達じゃないねェ。
 「勘違い?」
 「そーだ!あんたはすっかり思い違いをしちまってる」
 「……な、なにを?」
 「ジャスティンを救おうとか考えてる!」
 ……はい?
 「その上で俺に捨てるなと言わせたいんだ!」
 思わず気が抜けたところに重いパンチが決まったみたいに魂がふらつく。久々に揺らされる。鬼神復活の時にさえある程度抑え込めたというのに。
 「ねえ死神様、あいつはパートナーが居ないんじゃない、あんただけがパートナーなんだ。あんたしか頼るもんが無かった、そんな奴が寝返ったショックは解る。俺も嫁さんに別れるって言われたときそんな気持ちだった。
 でもあんたは捨てられたんだ、ジャスティンに。あいつを教育? 自分が至らなかったから? 子供を守り切れなかった? はっ!俺達デスサイズは兵隊なんだ、弾丸なんだ、作用点なんだよ!あんたが世界を、秩序を、平和を!誰より愛してるからこそ撃鉄にブッ叩かれるのに誇りを持ってられんだ!俺たちの忠誠心を侮辱しないでいただきたいね!」
 怒鳴りつけるように、癇癪を起こしたように、魂を掻き乱した彼が息を切らせる。その仕草はどことなくユーモラスでさえあったが、ワタシは到底笑うような気分にはなれなかった。
 「ああ、止めてくんないんだね、つまり」
 「病んでたなんて言い訳、俺には通じません。“それ”を鍛える為に俺達はデスサイズになったんだ。元同僚としてせめて一息にあの世に送ってやりますよ」
 「……シュタインくんを逃がしたヒトの言い草とは思えないねェ」
 「それは皮肉ですか」
 俯いた赤い髪の茂みの奥から響いてくる猛獣の唸り声。慟哭にも似て、だがしかし何故だかワタシは山月記の一節を思い出していた。
 万能ならざる我々はいつだって上手くやれない。良き偽りと自らの退廃と逃れるための自嘲と戦っている。正義の味方という奴は片手間に出来る仕事じゃないから、諦めねばならないことはとっても多い。
 でも、諦めちゃいけない私利私欲もあるはずだよ、スピリットくん。
 そいつは絶対あるんだよ、確かに。
 「だってあの子の味方、ワタシだけなんだもん。味方をするからには最後まで面倒みなきゃネ」
 フフと短く笑ったら、長髪をがりがりやりながら彼はいつもの間延びした不真面目な調子の声を吐き出した。
 「……あー、やっと出た」
 「へ?」
 「自分の口から出したら納得するでしょ」
 壁に向かって思い込むより、誰かに向かって宣言する方が腑に落ちるんですよ。そういいながら耳に小指を突っ込んでぐりぐりまわした。ポケットに片手を突っ込んで、タバコを探しているのかもしれない。……いや、彼は確か吸わないヒトだったっけ。
 「んじゃ、俺は本日の給料分仕事したんで帰ェりマス」
 いつもの妙で独特の足取りでデスルームを去ってゆく赤毛のボウヤのうしろすがたを眺めながら、ドアの閉まる音を聞いた。
 正式にワタシのパートナーを名乗れる唯一の人間は、とても有能だ。精神の制御に飛びぬけて長けているし、基本的に誰にも壁を作らない人当たりの良さと驚くほどバランスのいい魂を持っている。
 気を張らない、死神とだって同調できる彼の性質はとってもありがたいけれど。
 「……キミのそーゆー回りくどいとこが離婚の原因なんじゃないの」
 溜息とも笑いとも知れぬものが口から洩れて、若いデスサイズの苦悩にしばらく思いを馳せた。



 12:02 2009/12/08 死神様とマッパのイチャイチャパラダイス。死神様の味方は家族と部下だけ、後は全部敵と死体。その味方に裏切られたら相当きついだろーなーと。マッパは死神様がいろんなものを自分に隠してる事を知りつつ尚、銀の弾丸として日々活躍してると俺によし。原案は国せんせー。ありがとうLOVE! 9:44 2009/12/11 タイトル3回変えてコレに。クロナを助けようとするマカを育てたマッパなら、きっとジャスティンを救いたいと思ってる。それが痛みから逃れた彼らを苦しめようとも。






An Innocent Mind

 高笑いでもしたくなる。とってもいい気分だ。心が晴れやかで今なら何でも出来そうなくらいわくわくと胸が躍って血が騒ぐ。今まで地に伏していたのが馬鹿らしく思えてきて、遠い昔みたい。ざわざわ耳の奥が鳴っている。これは血潮の音、これは歓喜の歌、これは征服のファンファーレ!
 「やあキッド!一週間ぶりだね!」
 言葉の突っかかりがまるでない。自分でその違和感を掴み取る前に次の言葉が放たれる。
 「なんだいその顔、それにこの匂い。まるでメデューサ様に村を一つ潰して来いって言われた僕みたいだ。……随分殺したね、わかるよ、だって僕も同じ事をしてたんだもの!」
 うきうきと弾む声が勝手に溢れて勝手に耳に届いた。
 ああ、なんて清清しく魂が無理に揺れる!
 「黙れ」
 ギラリと金の目が僕を睨んだ。いつもならきっとこれだけで震え上がっただろうに。だけど今はそれさえ滑稽だよ!
 「ぐぴぴ。無駄だぜキッド、こうなったクロナは俺様だって持て余すんだ。お前が血と魂の悲鳴に塗れたままここにやって来たのが運の尽きって奴よ」
 ラグナロクが少し楽しそうに言った。僕の感覚に引きずられているのかな? それとも僕がラグナロクに引きずられているのかな? ……どっちでもいいや、うん、そんなことどうだっていい。
 「可愛そうに坊ちゃん、慰めて欲しかったのか? 心苦しい使命に傷付いた心を撫でて欲しかったのか? そいつはお門違いってモンだぜ。言ってみりゃお前たちはパチンコ玉なんだ。弾かれて穴に嵌る慣性の法則に縛られた小さな球がどうやって互いに協力するってんだ?」
 目の前がキラキラ光っている。まるで生まれ変わったみたい。時間が見えるよ、空気が弾けながらくるくる廻て、いる。
 ほららみみて、キキキキッッッドドドドラララララググッググ……!おもしろい、たのしい、たすけて、かたちかわる、ぼくのてがうらがえる、ごめんなさい、くらくら、しにたい、そらがみたいな、ここはどこ、いまはなに。
 「に、人間の意志の力を馬鹿にするな!」
 ねえなにをおこっているの
 たのしいよ
 たのしいよ
 ころして
 たたたたたたたのしいよよよよよよよ
 「ひ、ひ、ひ……言うねぇ。だが道理ってものもある。
 心優しいクロナちゃん、可愛そうなこの子は心にスイッチを作ったよ。人を殺す時には電気を消すんだよ。死武専みたくに“正義”なんて言葉で誤魔化せないから、せめて正気って明かりをさ。……健気なモンじゃねえかよ? いじらしくて泣けてくるだろ? ええ、加害者の息子さんよォ」
 ラグナロクの声が遠くで聞こえる、血と臓物の匂い、魂が軋む波長、のど笛が潰れる音。背中がざわめいて止まらない。何も考えられないのに神経がどんどん冴えていく。身体が裂ける。頭が潰れる。あああああああああああ!
 「クロナ、魂を鎮めろ。流されるな、気を確かに持て!」
 何も見えないのに瞼の裏は極彩色の世界が乱心している。血が、黒い僕の血が真っ白になっていくみたいな。皮を剥がないで、目を抉らないで。
 「神が気力頼りかよ?
 怠惰と貪欲はお前らの文法で言うところの“悪”なんじゃなかった?」
 ぎぃあげ言う儀オアd牛ふぃあgsぢfy貸しdごあしゃたまぁがあああああいたいいいいいいいいいいいいいいいい!
 「おれは断じてパチンコ玉などではない。仮にクロナがそうであったとしても、そんな不条理など片端からこの手で打ち砕いてやる」
 ぎゃあああああああああああああたまがいたいいいいいいいいいいいいあたまがあたまたたあまあたああああああああまぁあああああああ!
 「それまでクロナが生きてりゃいいな、楽観主義者。
 言葉がこいつの何になる? こいつに何が出来る? こいつには何もねぇんだぜ? 未来も意思も人生も、もしかしたら欲でさえ」
 やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ
 「何もならない言葉を言い続けてやれる。一人じゃないと言い続けてやれる」
 うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい
 「はっ!死神が鬼神の卵に生きろだと!最低のジョーク!まったくお前は本物の死神だよ、魂を無慈悲に奪ってく黄泉の使いそのものだ!」
 「ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
 めぐり回る逆流が身体の中をすごいスピードで駆け抜けていく衝撃に耐えられなくなって、僕は悲鳴を声に出してその場に倒れた。いい気持ちだ、ああ、最高、もう、死にたい。死なせて。ぶつぶつあぶくと一緒に口から唸り声が流れているのを誰かが揺すっている。
 やめろ、やめろ、もう、起きたくない。二度と、もう、いやだ。
 「どうだよ。こんな有様だぜ。こいつは一生こんなだ。哀れだろう、痛々しいだろう、気の毒だろう。お前が側に居ようと、お前が消えようと、こいつは死ぬまでずっとこのまんまだ」
 「そんな事を聞かされれば、尚のこと捨て置けん。
 ……例えお前がクロナを連れてどこへ消えてもな」
 誰も僕のことなんかわからない!メデューサ様も!ラグナロクも!マカも!キッドも!誰も僕のことなんか理解できない!僕は一人だ、僕は一人だ、僕は一人だ、僕は一人だ、僕は一人だ、僕は一人だ、僕は一人だ、僕は
 「なら、地球の裏まで探しに来い」
 僕の目からポロリと雫が垂れる。
 どちらの言葉に対してなのかは、たぶん、一生わからない。
 だって“僕のことは誰にも理解できない”んだ。



 22:05 2010/01/10 キクラ。ラグやんってさー、博士には「クロナがラグナロクに反発してるから小康状態」と評されてたケド、おでにはどーしても「ダークサイドに落ちやすいクロナをラグナロクがギリギリのところで救ってる」よーにしか見えねーんだけど、この解釈ってアッシャーの意図するところじゃないのかねぇ。






恋と死のジレンマ

 「ソウルくんのことどう思ってる?」
 唐突にブレアがキッチンでピザトーストを作ってる私に訊ねた。今日は日曜日でソウルは昨日からブラックスターとパティの三人で夜釣りに出かけてまだ帰ってない。何でも料理要員なのだそうだ。
 トースターがチンと鳴ったのでバターとチーズとピクルスとサラミと玉ねぎとパプリカが、チリソースでちょっぴり焦げたいー匂いが、もう辛抱堪らずお皿にあける前に直接かじってしまった。
 「……お行儀悪ゥ」
 「ん〜っ!ホロホロ砕けるチーズ!この焙りマヨネーズがたまんないっ!」
 「ねー、きーてる?」
 「とろけるチーズは邪道だと思うのよねっ!やっぱチーズと言えばブロックに切ってさぁっ!こうチーズカッターで摩り下ろしてっ!」
 「聞いてにゃいわね」
 はくはく言いながらピザトーストを離さない私に呆れた顔でブレアがため息をついた。
 時計をちらっと見たらまだ朝の7時43分。こんな時間からする話じゃないなと思いつつも、耳だけになったピザトーストのなれの果てをかじりながら、カップに粉末スープを開けてポットのお湯を注ぐ。
 「私ね、クロナが来た頃までソウルが私のことを好きだと思ってたの」
 じょぼじょぼじょぼと、粉にお湯が落ちる音がする。カップの中で平和な粉の国に未曽有の大洪水が起こっていた。
 「今は違うの?」
 猫の姿のまま、大きな三角帽子を目深に被ったブレアが再び訊ねる。
 「クロナと少しそんな話をしてみてね、違うなって」
 おっと、スープをかき混ぜる為のスプーンが手元にない。少し湯を入れすぎて零れそうになってるカップを静かにテーブルに置いてカトラリー・セットの入っている抽斗に向かう。
 「ソウルくんのこと嫌いになった?」
 だから最近カードもやらないし、すぐ部屋に引っ込んじゃうの? 嫌いになっちゃったから日曜の夜の高級レストランごっこもやめちゃったの? 一緒にテレビさえ見ないの?
 ブレアが矢継ぎ早に次々と疑問という名の批判を投げかけてくる。うん、言いたいことは解るよ。それに答えるくらいなら死んだ方がマシだけど。
 「嫌いじゃないよ。けど、やっぱね、避けちゃう」
 スプーンを取り上げて煮え滾ってた湯の中へ沈める。巻き上がる少しくすんだ透明の濃淡。
 「なんで?」
 「ソウルは私のことを好きなんじゃなくて、私を好きな自分が好きなの」
 スープを冷ましながら一口。沈黙が重いのでもう一口。
 「……そこで“私は悔しくて耐えられない”って言えないところがマカの限界って感じ?」
 鼻で笑うようなブレアの声を耳が拾って眉が露骨に歪んだ。口に広がっているコンソメの味が急にぴりぴりと尖っている。
 「な、何よそれ!私は別に――――――――」
 「ソウルなんか最初から好きでも何でもない、なんて恥知らずなことは今更言わせにゃいよ?」
 真っ黒の魔女の帽子のつばの向こうで黒猫の金目がギラリと光った。私はそれに思わず小さく唸って身を引く。
 「マカってみんなから勇気があるとか真面目だとか言われてるけど」
 そんなの外面だけだよねぇ。ホントは知らないものがおっかなくって手を出さないだけのビビリだにゃ。歌うように猫が帽子の陰に隠れて言った。冷たい空気に挟まれたスープとチーズの胸躍らせる匂いが色褪せる。手についたパンくずが今更のように鬱陶しい。
 「ソウルくんが持ってくる恋愛が怖いのよねェ? 恐ろしいのよねェ? だから逃げて否定するのよねェ?」
 指一本動かせない。悔しくてでも言い返せなくて、なんと反論すればいいのかわからなくていらいらする。微動だにしない黒猫はまるで置物のようなのに、押しつぶされそうなプレッシャー。
 「れ、恋愛っていうならそれこそ一方ばっか尽くすものじゃないでしょ!」
 苦し紛れに言い放った言葉に内心歯噛みした。もうすっかりブレアのペースから抜け出せない。
 「そーよ、思い思われ持ちつ持たれつ。でもそんなのひとつの形でしかないにゃ。いろんな形があって正解なんかない。でもマカは自分たちの形を探そうともせずソウルくんに八つ当たりばっか。
 ねぇマカ。あいつ“心狭くて器ちっこい度胸なしの逃げ腰ソウル”なりにマカを誠実に見ようとしてるよ」
 「だから大目に見ろって?」
 ああ、ヒステリーっぽくて嫌な奴。会話する気なんてさらさらないのがモロに出てて、そのくせ論破しようと躍起になってる。……いや、自分を正当化しようとしてるのか。なおさら己の幼稚さに失望するよ、まったく。
 「……マカの男性恐怖症は病気じゃなくて強迫観念だにゃ。その自分勝手にソウルくんを巻き込んでるだけにゃの。
 そうじゃないのならソウルくんにちゃんと向き合ってみにゃさいよ。マカが思ってるほどソウルくんはマカに依存してるわけじゃない。強迫観念にまかれてるマカを助けたいと思ってる。……自分も助かりたいと思ってるけど、自分だけ助かりたいとは思ってにゃいのよ」
 そんなの、わかってる。
 わかってるの、ずっと前から。
 でもうまく頭が処理してくれない!
 「素直になってみたら。初めて心を許せた男の子なんでしょう」
 諭すような口調にさえ尤もだと頷けない心が嫌で仕方がない。だからって何故素直になれないかなんてのを他人に、自分に、魂に聞かせることもできない臆病者。それが知られるのが怖い。それを認めるのが怖い。
 「……それと好きとは別だわ」
 「キッドみたく情熱的で積極的な、必死に愛を表現できる一途な男なんてそうそういないよ。クロナを羨んでるマカが一番滑稽で不誠実だにゃ」
 私が短く言い捨てた言葉に、ブレアが手櫛で髪を梳きながら自信たっぷりに言い捨て返した。そうねその通り、言い返す言葉もないわ。なのに頭と口がうまく連動してくれない。ああ、もう、誰か助けてよ。
 「羨んでなんかない!」
 「うそ、自分が思う通りに愛されなきゃ気に入らないくせに。ソウルを独り占めしたいんでしょ? だけど男の子に求められるのは怖いのよね、いつ捨てられるかって脅えたくないから。そんな我侭通るはずないって自分が一番知ってるからソウルのこと避けてる。
 マカは自分のことが好きじゃないのよ。自分自身に素直になれないだけなの。そんな奴が恋愛なんか出来るわけないじゃない。ソウルの依存癖の方がよっぽど可愛いげがあるっつーの」
 叱り飛ばすブレアの“恋愛”って言葉は私に耳を無理やりに閉じさせる。聞きたくない、考えたくない、崩れてしまう自分なんか見たくない!
 「下らない、恋愛なんか関係ない」
 「知ってるマカ。それ、負け犬の遠吠えっていうのよ」
 知りもしないくせに分かった風な口を利くものじゃないわ。ブレアがそう云ってふんと鼻を鳴らした。
 時計のアラームが鳴る。八時。いつも学校へ行く時間だ。
 「ソウルとは気の合う相棒で居たいの。命を預けて惜しくないお互いで居たいの。ただ信じあうことだけを共有していたいの」
 「そんなのは幻想だにゃ」
 「……例えそうだとしてもよ」
 そう信じてなきゃ、そう思い込んでなきゃ、ソウルが男の子になっちゃうもの。……裏切り者のパパと同じ“男の子”と運命を共にするなんて、そんな恐ろしいこと出来ないわ。



 9:26 2010/01/14 マブソ。ブレアは家族というよりペットで隣のお姉さんで悪徳の異形で居て欲しい。近くて遠い子供たちを眺める八百万の神でいてくれ。68話で久々にブレアが出てきたのは嬉しかったけど、マカとソウルの男女関係とか原作に一切望んでないんだがな。そこは二次創作屋に任せて欲しいぜアッシャー。
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