ラブチャスタイズ
あたるとラム
バカが真っ赤なクリームだらけになっているのを窓辺からぼんやり見ている。
遠くに浮かんでいる宇宙船の窓には全身が飛び切り辛そうなサンタクロース。
どうせ張り切っていつもみたいに俺に食わせる激辛殺人ケーキなどを作っているにきまっとる。あい つはこーゆーイベントが大好きだからな。
去年は編み物で助かったのだが、今年はちょっと逃げられそうもない。
窓辺でぼんやり見ている。必死に作ってるのは人間にゃ食えない辛さの拷問ケーキ。
そこらじゅうから雑誌を買い込んで、亜空間を駆けずり回って集めている材料。何度も失敗したケー キをジャリテンが食っていたのを横目で見ている。
お前はどーしてそう、方向の間違った努力に突っ走るのかね。いじらしいとか以前にまず疑えよ、方法を。
俺には食えねーんだよ、お前の味覚が基準の食い物は。
何度言っても分らないのかワザとやってんのかは解らない。
でも必死にケーキを作っている。
お前の味覚に俺はどうやったって慣れられん。努力とかそういう問題以前の、どーしよーもないこと。
それでもケーキを作る。真っ赤なクリームだらけの辛いサンタクロース。
暗くなるまで空を見上げてぼんやり真っ赤なクリームの弾け飛ぶのを毎日見ている。
よく飽きんな、ほんとに。
そんなことを思いながらも、まぁいいかと呟いた。
「今年のサンタはお前で我慢しちゃろ」
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