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玄関先で一通り砂やら塵やらを叩き落とし、自分の部屋から代えの制服を引っ張り出してきて脱衣所に置いた。洗濯機が回っているのを見てなにやら妙な気分がしたが、何を言う気にもなれなかった。 「母さん居ねぇから俺んジャケットで悪ぃけど」 「あー、おかまいなく」 着替えに自分のスウェットの上下とDATSのジャケットを洗面台に掛けて洗面所を後にする。 2月のさなかに降る雨の中、今日は珍しく淑乃が濡れるのも構わずガルダモンに突っ込んでった。トンネル内でサンシャインビームの乱れ撃ちは正直いかがなものかと思ったが、こっちはラピットモンを追って地下道を駆けずり回っていたのでそれどころではない。 デジタマを持って再会した頃には淑乃はずぶぬれ、俺は埃まみれでお互いひどいツラをしていた。 「うおっ靴下の中にも砂がっ」 今更ザラつく背中に顔をしかめ、顔をゆすぐにも手をすすごうにも、風呂場は占拠されているので淑乃が出るまでは埃っぽいまま我慢するしかない。 あれでも一応女だから身体を冷やすのは良くなかろうとゆー優しい気遣いに遠慮をおくびにも出さず「ライズグレイモン超特急!」だもんな。肝が据わってるっつーか図々しいっつーか……ま、初対面の人ん家に堂々と泊まってた豪傑に何言ったって無駄か。 そもそも俺の服を着替えに出せって何で命令形なんだ。そりゃ確かにお前ん家でスウェット借りてた恩はあるけどよ。 「……下着……そういやどーすんだろ」 ふと下世話な疑問が湧いた。 が、俺の知ったこっちゃねーや、とすぐ忘れた。 …… ………… ……………… 忘れたんだよ! だから次に行け俺の思考! …… ………… ……………… ……あのスウェットのズボンもう俺(思春期的な意味で)穿けないかも知れん…… いつものソファなのに据わりが悪い。 ザラザラ煩わしい背中と靴下の中。 頭に渦巻く黒と桃色はうねって毎秒事に形を変える。 「何故せめて知香が居ねーんだこの家は!」 『アニキ〜オレの存在は完璧に無視かアーニーキー』 『バカね、薄情者の一番マズイ場面で飛び出してやればいいのに』 声に驚き辺りを見回すと、オレンジとピンク色のデジヴァイスが微かにテーブルの上で振動していた。 「そーだそーだアグモンが居た!」 『ウワー…こんな見事な手の平の返し方見たことねー』 『よくこんなののパートナーやってて平気ね』 飽きれ返るアグモンをリアライズさせ、俺はアグモンの身体にべったり張り付き、淑乃が風呂から上がるまで一秒たりとも離れなかった。 「何やってんの馬鹿」 「うわ直球」 いい気分で湯気など燻らせながら俺のスウェットに身を包み、現れた淑乃が気が弱いヤツなら泣きかねない暴言を吐き散らかしながら登場し、アグモンの短いコメントが終わる前に目を合わさず立ち上がってリビング緊急脱出を試みる。 「……何アレ」 『インターバルが長かったから我慢できなくなったんでしょ』 ピンク色のデジヴァイスから発せられる辛口トークは衰えなど知る由もない。 『若いってやーね、慎みが無くて』 「オレはララモンのエロ毒舌の青天井ぶりがイヤだな……」 その辺りまでは辛うじて聞こえたが、これ以上何も聞きたくないし何も聞こえない!とばかりにドアを閉めた。 ぶんむくれながらサラサラ音を立てる制服や肌着を脱ぎ散らかしてガンガン回っている洗濯機に投げ込む。 へん、ザマー見やがれ、埃払わずに突っ込んでやった。 みみっちい仕返しで腹を収めようと足掻く俺を洗面台にある鏡の中の俺が横目で哂ってるような気がして、そちらを振り向くのが躊躇われる。思わず殴ってしまいそうで。 「クソッ」 踏み込む浴室が暖かい。タイルがぬるく湿っていて、母さんや知香とは少し違う匂い。使い慣れたシャンプーのむせ返るような芳香とゆらりゆらり揺れる湯船。 「……風呂の蓋くらい閉めて出て来いってんだ」 掛かり湯一杯で乱暴に湯船に身体を沈めた。冷え切った肌やつま先や手のひらをビリビリ刺激的に踊る血が収まった頃、ゆっくり溶けてゆく頭のどこかがふと声を上げた。まずいと焦る暇もなく。 いつもは厳重に蓋さえ開かないよう閉じ込めているそいつが息を吹き返す。 『淑乃を触りたい』 最後の夜から何ヶ月たったのか。無理やり唇を奪った日から何ヶ月? いや……きっとこれから先も、あの体に触れるチャンスはもう一生ない気がする。予感ですらなくて、ある程度根拠のある予測。その理由を正視出来ないくらい、確かな要因。 淑乃はあまり俺を好きではない。 少なくとも、俺やララモンが淑乃を独り占めしたいと思うよーな感覚はあいつにない。 「なんであんなに執着心ウスいんだ?」 幸薄そうで、平気な振りを自覚していない。しかし本人は元気で全開で口うるさくちゃっかりのうのう生きていると思っている。アグモンもそういう所あるけどさ。 ああゆう手合い見るとどーしても放って置けねーんだ。我ながら損な性分だと力いっぱい思う。 「……報われもしねーのに……犬か俺は……」 湯船に映る髪の毛でよく見えない絶えず歪む自分の顔が不景気極まりなくて情けない。それでも喧嘩番長か。 「――――せめて頼む、平気なフリをやめろ。そしたら妙な期待せずに済むから」 下手な平気ぶりっこは被害請求よかずっとキツい。 だけどとっても仲間思い。 俺に許されてるのは記憶にある生々しい呼吸や感触を思い出すことと、何の気なしに接近する淑乃にドギマギするだけ。ララモンやトンマに五寸釘を打ち込み続けられるだけ。 防戦一方、到底俺のやり方とは思えない。 でも他の方法も思いつかない。 俺は体力を削り取られる一方。 無防備に笑うな。リセットして近付くな。信じ切って委ねるな。 俺はお前が帰った後にお前の着た俺のスウェットを多分一年は洗わないでベッドの奥に隠しとく。そんで夜とか取り出して匂いとか間違いなく嗅ぐ。むしろ枕にかぶせる。変態だと罵られようが絶対やるね。 その変態的代償行為での限界すら来たら アグモンの鋭い牙でかみ殺してもらおう。 ナッツシュートの的になる前に。 0:10 2007/03/03 大淑強化月間しょの1。てゆうかボキの大淑イメージアルバムthe pillows「GOOD DREAMS」その中の一曲「オレンジフォルムガーデン」ヨリ。書き終わった後に知ったのですがなんでもこの歌さわおの淫夢が元ネタらしい。さわおに一生ついてゆくと今決めた。等という俺以外望んでないthe pillows豆知識とは全く関係なく大淑マンスリー。とりあえず三日に一本書く予定。予定は未定であり予告なく全変更になる場合がありますご了承ください。 |
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車の振動、ウインカーとスピーカーから時々流れる無線連絡、エンジン音。 後ろでデジモン連中とイクトが寝息を立てている。 車の運転はいつもと違い、どこかぎこちなくて上の空だった。 「……親が居ないのって、どんなかな」 ウインカーの作動音。大きく右にハンドルを切る。 「あら、寝てたんじゃなかったの」 昼の山かげを抜ける高速道路はがらんとしていて、まばらに走っている運送トラックに注意するだけの単調な作業に飽き飽きしていた所だ。例えデリカシーのないガキでも話し相手があるのは嬉しい。 「ララモンが寝たみたいだから起きた」 「タヌキ寝には到底見えなかったけど」 嫌味を挟んで言葉尻を上げてみるが、それに乗っては来ない。なによ調子狂うわね。 「俺ん家は親父居ないけど、家族丸ごと居ないのは想像つかない」 「……イクトのこと?」 「一目だけでも会わせてやりてぇ」 投げた言葉に否定も肯定もなく、らしくない低く唸るような声が内容とは裏腹に惨めったらしくて実に調子が狂う。 意外だわ。打たれ弱いのかしらこの子。 「デジタルワールドでこんだけ成長できてるのよ。理念はどうあれ、あの世界でちゃんと暮らしていけてたんだから……あんたが心配するような不幸まみれの子じゃないと思うけど」 友達や仕事仲間にわたしの性格、つまり湿っぽいのが苦手だったり、人の思考回路に踏み込んでまで感動したりするのがどうも得意でないという振る舞いなんかを評させると『スーパードライ』なのだそうだ。 まるで人間に非ずと言われている様でどうにも腑に落ちないのだけれど、かといって強く反論できる根拠も見当たらないので「ふうん」と頷いたら、ほらスーパードライ、と笑われた。 「……淑乃は強いな」 大はぼそりとそれだけ言って助手席に座り直し、また深々と座席に沈み込んだ。 わたしはこれ以上の会話を拒絶されたような気がして眉を顰める。なんだ、自分から話し掛けといてこの野郎。 そう膨れた半面、憐れな気がした。 到底、中学生の思考回路とは思えない。目の前に居る人の不満や不幸を全部吸収してしまうこの子こそ、救われるべきなのに。 なァんて言ったら怒り出すな絶対。めんどくさい年頃だから。 ……スーパードライお姉さまがあんたのフォローしてあげてんのよ、勝手にみっともないツラぶら下げてイジけてんじゃないっての。 ――――――あんま心配掛けさせないで欲しいわ。 20:10 2007/03/06 イクトをかなり気に掛けているアニキは自分の親父が居ない寂しさと重ね合わせて関わってるといい。過剰に雪ダルモン殺されちゃったことに感情移入するアニキとかすごくありそう。でもイクト本人はDWでそれなりに幸せに生きてたんだよね。勝手に突っ込んでって勝手にうらぶれてる君は勝手な人ね。勝手にハラハラさせられるこっちはたまったもんじゃないのよ。淑乃とアニキの立ち位置の話その1。 |
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「気付いてない人を見るとイライラするわ」 ララモンが腹立たしげそんなことを言った。ガオモンの耳がぴくりとも動かないのを確かめて、俺も聞かない振りをしたものだかどうだか思案して、その案は却下した。 「なにが」 できるだけのん気そうな声を出し、ガラスの向こうのトレーニングルームで基礎体力向上に励むパートナーを見ている。さすがトーマは動きに無駄がねーなー。アニキは動きが大きすぎて当たったらデカイけどスタミナの消費量が半端ねーからすぐへばるんだよ。淑乃はなんというか、全体的に要領がいい。必要な時に必要なだけしか体力を使わないタイプというか、使えないタイプというか。 「そんで自分だけは全部悟ってるつもりなのよ」 どうも会話をする気はないらしい。……ガオモンはやっぱり何も聞いてない顔をしている。お前はパートナーと違ってなんつーか、精練されてるよ。そんで多分、それが弱点なんだろうな。 「それガオモンのこと?」 俺はいつもこうやって無理矢理にガオモンを巻き込む。だってこうでもしないといっつもむすったれて黙ってやがるしよ。自分一人傍観者決め込もーなんざ甘ぇーんだよ。 「な、何を根拠に」 こういうとこはパートナーそっくり。涼しい顔に水引っ掛けられ慣れてないから突付くとすぐ噛み付いてくんのな。修行が足りねえんだよ忠犬くん。 「だって自分は上司の忠実で優秀な部下のつもりなんだろ?その実、自分じゃ何一つ決められない、自分から何一つ踏み込めない。単なる腰抜けじゃないかよ」 カッと目を見開いて、飛び掛らんばかりの牙剥く表情。おお、こわ。 「私を、ひいてはマスターを愚弄する気なら!」 怒鳴り声に半笑いのオレ。ようやくこちらを振り向いたララモン。よしよし計算通り。 「ララモン、やっぱこいつ自分では悟ってる気みたい」 「……アグモンもイチイチ喧嘩腰でちょっかいかけるの止めなさいよ、ガオモン真面目なんだから」 「こういうのはな、クソ真面目ってって、嘲りの対象なんだぜ」 オレとララモンの談笑に怒りの遣りどころを失ったガオモンがなにやら複雑な顔をしかめて唸っている。ララモンがやれやれと溜息をついて、ガオモンに言った。 「アグモンが言ってるのはパートナーの事じゃなくて、上司のことよ」 「じょ、上司ったって……」 自分にはマスターしか、と言いよどむガオモンにやれやれという顔でララモンが一言。 「だからつまり、クダモンのこと」 ぎょっとした顔でそれから先の言葉をどこかへ落として、ガオモンは動かない。 「お前いざという時にダメなタイプだよな。」 ほんとパートナーにそっくり、と、これは言わない。人のことを言えた義理でないので。 「哀しいかな向こうもニブチンなのよねぇ。報われないわガオモン」 哀れむ自分を演出しながらララモンが笑った。 オレはその尻馬に乗って笑いながら、ララモンの執着心の強さはそのまま淑乃の拘らない性格の映し絵のようで、お前こそ報われないよと思ったが、言わなかった。 「わ、私は円滑なDWとの情報のやり取りの実現に奔走するクダモンを手助けしているだけで……!」 なおも無駄に足掻くガオモンの透けて見えた冷静の向こう側が結構愉快なので、ララモンの哀れはひとまず置くことにする。 人のことを言えた義理ではないので。 ……なぁ、アニキ。 12:41 2007/03/07 デジモンの話。あるみしゃんに贈呈する話だからってガオクダの説明まるでねぇのはイカガナモノカ。セイバーズのモンたちはパートナーと真逆の性格してたら面白いのにという妄想を拠点に、ガオは素ボケ、ララは粘着質、アグは理屈屋というキャラ設定。DWで3匹がケンケンパやってたのがすごい和んだ。アグさんはララさんがクソ気になるのだけど、スマートに切り抜けられちゃうため気付かれない。そして今日もドンくさいガオさんをイジって気を晴らすのでした。タイトルはなかなか晴れ渡らないアグさんの心情を評して。 |
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「おかえり」 腕を組むスタッフの一番前で腰に手をあて、あの派手なピンクのスパッツが仁王立ちしている。 出鼻を挫かれて返答に困る俺の後ろを何のリアクションもなく、我関せずといった按配で事務的に通り過ぎる青ズボン。待て待てお前も同罪だろうがよ!一緒に怒られろ! 「あれだけ言ったのにトーマに付いてったのね」 「逆だ逆!トンマが俺に――――――」 「トーマはDWから自力で帰って来れる装備を持っていったわ」 そのセリフの辺りで後ろの自動ドアから白川さんだとかがお疲れ様ーと言いながら転送ルームから出て行った。……えっなんで俺一人がお説教コースなの? 「トーマは先に帰れって言ったはずよ」 「そりゃ確かに言ったけど――――――」 「言い訳?見苦しい」 ぐっ。 「どうせ滅多に行けないDWだからってピクニック気分で付いてったんでしょ。 あんたこっちの世界に帰って来れなくなるって事がどんなに重大なことかサッパリ解ってない。最悪のケースを常に想定しなさいって毎回言ってるんですけどー。あんたは危機感がないのよ、危機感が」 だってしょーがねーじゃん、デスメラモンが――――――なんて言い訳はしない。男らしくないから。あとどうせ説き伏せられるのが目に見えてる。 ならば反撃だ。それと知れぬように報復だ。 「俺が帰ってこなかったら、淑乃は困るか?」 「当たり前でしょ、隊員がDWに行方不明なんてDATSの体面に関わるわ」 何をバカな事を訊くんだ、とでも言いたそうにため息がてらジャケットが背を向けた。 「隊員じゃなくて、俺がだよ」 こういう言い方すると大抵の人は困るのを俺は知っている。だって俺も女の子にこんなこと言われたらスッゲー返答し辛いからな。困るのは困るんだけど、最適な言い方がパッと見つからないというか。 「………………」 「………………。」 俺は特別背が高いわけではない。年相応の身長で、それに不満は今のところない。 淑乃は特別背が低い訳ではない。かかとの高いブーツを履いてるからかな。 そんな俺が転送ゲート入り口に立っていて、そんな淑乃が段差の下に下りていて。 約40センチの身長差。約120センチの距離感。 俺達は結局淑乃の背中が無言のまま振り返らずドアの向こうに消えるまで、そのままのポーズで15分も突っ立っていた。 なんちゅうヒネクレ女だ。 そーいういう態度だから男にモテないんだぞ分かってんのかこら。 ……ったく、仕掛けたこっちがヘンに肩凝ったわ! 18:07 2007/03/07 初期のドリモゲモンあたりのまだそんなに仲良くなってない頃のイメージ。初期淑乃さんの頑なな感じが好きでした。人見知りするタイプだったらいい。でもそんな子が初対面の人ん家泊るかー?という疑問には、仕事だからと割り切っていたと妄想返答。トーマともプライベートでは関わらなかったけどアニキ(人情派)が来てからペース狂わせられっぱなしだといい。すごくいい。そんでヤケクソで姐御キャラ作って酒とか飲んでたりしたらめがっさイイ。…………なにこのすっげえ頭悪そうなコメント。(何を今さら |
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先天性全盲の人は音だけの夢をみている。 「……イクト?淑乃だけど、入るわよ」 眠りもしない、食事も取らない、暗い部屋の隅で蹲ったまま微動だにしないイクト。もしかして深夜なから諦めて眠っているかもと望みを持って扉を開けた私は浅い溜息をつく。 「毒なんて入ってないから、少しは食べたら」 冷え切ったコンビニのお弁当と、ぬるくなったお茶がビニール袋から取り出されることもなくテーブルの上に置かれている。 「淑乃、デリカシーないわよ」 「デリカシーでおなかが膨れるならいくらでも気を使うけどねッ」 ララモンの声に私はお弁当を引っ張り出して乱暴にパッケージを破いた。 「腹が減っては戦は出来ないのよ!無理矢理でも食べなさい!このままじゃあんた本当に参っちゃうわ!」 ぼんやり床を見つめて返事もろくにしないイクトの口を、ねじ込む玉子焼きで塞ぐ。嫌がる素振りは見せるものの、水も飲んでないのだ、その力はすっかり弱々しくなっていた。 「ほら、噛んで!あんたがいつ倒れるんじゃないかってこっちはおちおち眠てらんないのッ!おせっかい焼きキャラじゃないアタシに食べさせてもらえるなんて光栄に思いなさいよ!」 首根っこを引っつかんで無理矢理口に突っ込んでいたら、さすがに諦めたのかもぐもぐと口を動かし始めた。 それを確かめて腕を解き、イクトにお弁当を手渡す。 「……あんたの辛いのは分かるけど、しゃがんで暗い顔してたって仕方ないのよ。 大丈夫、あたし達、あんたの味方だから。もちろんそっちのファルコモンも。」 「イクトー!くそぅ、はーなーせー!」 ララモンに壁と壁の間に押し付けられているファルコモンは翼を後ろ手に押えられているので身動きが取れないまま、掠れた憎まれ口を叩いている。二人とも何も食べていないらしかった。 「悔しかったらちゃんと食べるのね。ファルコモンの分はここに置いとくから、明日の朝来て残ってたらただじゃ置かないわよ」 ドアが閉まる。 鍵が掛かる。 扉の向こうは無音。 あたしときたら本当に優しくないったらありゃしない。 まるで目を塞がれたような真っ暗闇の部屋の隅で、故郷も過去も、親もなくしたあの子はどんな夢を見るのだろう。 後天性全盲の人は色付きの夢をみるけど、だんだんと先天性の人と同じように音だけの夢になるそうだ。 想像したら悲しくなってきた。 せめて音だけでも楽しい夢を見て欲しい。 ……あたし上手に優しく出来たらいいのに。 15:49 2007/06/05 うわー3ヶ月ぶりー。暗ー。淑乃さんはイクトともっともっと絡むべき。なにあの余りモノコンビぶりは。ファックすぎるゼ!てゆうかイクトも淑乃もアニキアニキ言い過ぎ!どんなにアニキ好きやねん!淑乃は生き方が全体的に不器用。それがジャスティス。それがモエ。淑乃にデレなど不必要と言い切れる。(病気 |
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